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遷延性意識障害(植物状態)
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◎遷延性意識障害(植物状態)

交通事故が原因で「遷延性意識障害」になってしまうケースがあります。
いわゆる「植物状態」のことですが、遷延性意識障害になると、自分では何もできなくなってしまうため、全面的な介護が必要となります。
その後の人生にあまりに大きな影響が及びますし、ご家族にかかる負担も非常に重いものです。
交通事故の遷延性意識障害について、山口の弁護士が解説します。

1.遷延性意識障害とは

交通事故に遭ったときに発症する可能性のある「遷延性意識障害」とは、どのような傷病なのでしょうか?
これは、いわゆる植物状態のことです。
頭部外傷などによって脳を損傷することにより、意識が混濁した状態が続き、回復不可能となってしまいます。 遷延性意識障害になると、被害者は自発的に何もできない状態となります。
当然、交通事故の後遺障害として認められており、等級はもっとも重い1級(要介護)が認定されます。

2.遷延性意識障害の診断方法

遷延性意識障害の診断基準は、以下の通りです。
以下の6つの状態が、3ヶ月以上継続している
  • ○ 自力移動が不可能
  • ○ 自力での摂食が不可能
  • ○ 自力での排泄が不可能(失禁状態)
  • ○ 眼球でかろうじてものを追うことがあっても、認識はできない
  • ○ 声を出すことがあっても、意味ある発語はできない
  • ○ 「目を開けて」「手を握って」など、簡単な命令に反応することはあっても、それ以上の意思疎通が不可能
交通事故に遭って上記のような状態が3ヶ月以上続くと、医師に「遷延性意識障害」と診断されるので、その後に「後遺障害認定請求」を行うこととなります。

3.遷延性意識障害の治療方法

遷延性意識障害となってしまった場合、有効な治療方法は確立されていませんが、感覚を刺激すると効果的とされているので、できるだけ家族が声をかけたり手を握ったり、好きだったものの臭いを嗅がせたりすることなどがあります。
また、最近では、電気刺激による治療法なども積極的に行われるケースが見られますが、必ずしも効果が上がっているわけではありません。
遷延性意識障害になっても、年齢が若い人であれば、比較的回復につながりやすいとされています。

4.遷延性意識障害と逸失利益

遷延性意識障害となった場合には、後遺障害1級が認定されるので、逸失利益が高額になりやすいです。
ただ、示談交渉の際に「遷延性意識障害の場合、生活費控除をすべき」と主張されることがあるので、注意が必要です。
つまり、遷延性意識障害になると、普通の人よりは生活費がかからなくなるはずだから、逸失利益から差し引くべきだと言われてしまうのです。
生活費控除は、被害者が死亡したケースでは当然に適用される控除です。
しかし、遷延性意識障害の場合、被害者は生きているのですし、それなりにかかる費用もあるものです。裁判例でも遷延性意識障害のケースで生活費控除をするものは少ないので、こういった主張をされても、妥協すべきではありません。

5.遷延性意識障害と平均余命

遷延性意識障害となったとき、「平均余命」が問題にされるケースもあります。
遷延性意識障害の方は、一般人よりも平均余命が短いので、将来介護費用等を減額すべきと言われてしまうのです。
しかし、遷延性意識障害であっても、平均余命やそれ以上まで生き続ける方はいらっしゃいますし、このような主張は不当です。裁判所も、このような考え方はとっていません。
そこで、平均余命が短いので、介護費用を減額すべきなどと言われたケースでも、受け入れるべきではありません。

6.遷延性意識障害の介護の方法

被害者が遷延性意識障害となった場合、介護の方法も検討する必要があります。
この場合「自宅介護」か「施設介護」か、選択することになります。
自宅介護の場合には、自宅の改装が必要となることが通例ですが、その分の費用も加害者に請求できるため、賠償金の金額が1億円を超えてくることが多いです。
これに対し、施設介護の場合、自宅改装費用が認められないため、賠償金は5,000万円程度になることが多いです。
宅介護とすると、家族の負担もより大きくなりますから、どちらを選択すべきかについては、状況ごとに慎重に判断する必要があります。

7.自宅介護が認められるケース

遷延性意識障害の場合、自宅介護を希望しても、必ずしも認められるとは限りません。
自宅介護を実現するためには、以下のような状況が必要となります。

7-1.自宅を改装できる状況

自宅を改装できる状況であることが必要です。たとえば賃貸住宅などの場合、自宅介護は認められません。

7-2.家族に介護能力がある

同居する家族において、きちんと被害者を介護できることが必要です。たとえば、同居家族は高齢の親1人だけしかいない、という場合などには自宅介護は認められません。

7-3.病院と連携している

近隣の病院と連携関係があり、何かあったらすぐに対応できる姿勢を整えていることが必要です。 緊急の際にすぐに入院できる病院が近くにない場合には、自宅介護が難しくなります。
以上のように、遷延性意識障害となった場合には、さまざまな困難な問題があり、ご家族の方にも非常に大きな負担がかかるものです。
対応に迷われた場合や、良い病院をお探しの場合、保険会社からの提案に納得できないケースなどでは、お早めに山口の弁護士まで、ご相談ください。
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